日本市場における、キャップジェミニ・インベントの位置づけをどう見ていますか?

日本のコンサルティング市場は、アジア太平洋地域(APAC)の中でも最大規模で、グローバルでも二番目あるいは三番目に大きなマーケットです。DX(デジタルトランスフォーメーション)がビジネスに必要になった時、日本企業はその波に少し乗り遅れてしまった。
そのサポートをする形でコンサルティング市場がこの十数年拡大してきたという認識です。キャップジェミニ・インベントは日本では後発ですが、グローバルの専門人材や実績を活用し、高品質なコンサルティングサービスを提供していくことが、私たちの取り組みの基本になると思います。

DXにおけるAIの重要性の高まりを、どう分析していますか?

今のDXは、AIの活用・適用フェーズに入っていると思います。AIそのものの開発は北米や中国に劣後していますが、AIをビジネスに活用し、社会実装していく部分ではまだ優劣がついていません。クライアント企業もその認識を持っていて、ここ1年ほどで「AIを本格的にビジネスに適用しなければならない」という風潮に変わってきたと感じます。以前はCIOやCDOと話すことが多かったAIのテーマが、今ではCEOアジェンダに上がっている。「AIを活用した企業全体の変革が必要だ」という意識の表れだと思います。

日本社会全体にとって、AIはどのような意味を持つでしょうか?

日本は社会課題が多く、「社会課題先進国」とも言われます。労働不足をAIで補うことや高齢化社会への対応など、AIとの相性が非常に良い。人とAIがどう共存して社会や生活を変容させるかという課題に最も早く直面している日本だからこそ、挑戦する意義があると思います。キャップジェミニはヨーロッパ発のグローバルカンパニーで、人間中心の価値観を重視しています。アメリカや中国に見られるような覇権主義的なアプローチではなく、各国のコラボレーションを通じて質の高い価値を提供するという文化があります。社会をAIや技術でどう変えていくかを考える上で、ヨーロッパ発であることには意味があると思います。

キャップジェミニ・インベントの日本オフィスが、目指す方向性を教えてください。

AIや技術を使って社会課題の解決に挑み、一定のイノベーションを生み出すことができれば、日本オフィスがその発信地として機能できると考えています。日本の先進的な課題にAIで挑戦し、その成果を世界に広げていく―。そうした形で「イノベーションハブ」としての役割を担いたいと考えています。

クライアント企業のAIの取り組みは、どのように変化していますか?

多くの企業ではまだ、AIを導入して翻訳が楽になったとか、メールの下書きをしてくれるとか、そういったレベルで「こんなものか」と感じている状況かと思います。AIは導入することが目的ではなく課題を解決するための手段にすぎません。従って単にAIソリューションをカタログから選んで提供するようなことではなく、クライアント企業の「どこをどう高度化すれば競争優位性を築けるのか」を明確にし、経営課題や業務課題の本質を見極めてアプローチすることが重要です。CEOレベルでAIを活用しようという流れの中では、そうした視点が求められていると感じます。

チームづくりの考え方を教えてください。

経営課題や業務課題に対して、エンジニアリングやテクノロジーなどキャップジェミニ・グループ全体の力を結集し、真に課題を解決できるチームを作りたいと考えています。産業別の知見や技術の動向に精通し、クライアントと共に考え、エンドツーエンドで変革を支援する―。チームとしての総合力を最大限に発揮し、クライアントに確実に成果を届けられる組織が理想です。

どんな人に参加してほしいですか。

頭がいいかどうかなんて、問題ではありません。大事なのはチームで力を発揮し、クライアントのために動けることです。優秀なコンサルタントは自社の売上に興味はなくても、クライアントの業績や株価の意味をしっかりと理解しています。それくらい相手に入り込める人が強いと思います。

また、組織では上下の区別なく仕事を理解し、同じ考え方を共有する文化が大切です。それを実現するには数百人規模が限界。まずは数十人から始めて、200〜300人の組織を目指します。全員が同じフィロソフィーを持ち、キャップジェミニならではのコンサルティング技術を継承するチームを作りたいです。

キャップジェミニ・インベントで働く魅力とは?

キャップジェミニは「People-centric」つまり人を中心に置く会社です。KPIやプロセスで縛るのではなく、人との信頼関係を重視する文化があります。私自身、入社以来、多くのグローバルリーダーシップと直接会い、協力関係を築くことができました。グローバルとの連携を通じて、新しい価値を共に創ることができます。また、アントレプレナーシップを大事にしていて、自分で何かを立ち上げたい人、新たな取り組みに挑戦したい人にはとても良い環境です。決まった形がないからこそ、裁量をもって自分の考えで動ける風土があります。

最後に、今後の目標を教えてください。

AIやテクノロジーを軸に、社会課題の解決と企業変革を推進し、日本から世界へ還元していく―。キャップジェミニ・イベントの日本オフィスは、グローバルの知見を活かしながら、日本発の取り組みを通じて価値を創出し、社会に貢献できるイノベーションハブのポジションを目指していきます。